はじめに
近年、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の増加に伴い、慢性腎臓病になる方の数が世界的に増加しています。慢性腎臓病がさらに悪化すると透析療法や腎移植が必要となります。日本では現在、約35万人の方が透析治療を受けており、新しく透析を始める患者さんの数も年間4万人にのぼります。このように患者さんが増加している透析療法とは、どの様な治療で、透析になると生活はどう変わるのでしょうか。
透析とは、腎機能が低下し、血液に含まれる老廃物を外に出せなくなった腎臓に代わり、人工的に血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、きれいになった血液を体内に戻す治療を言います。透析にはいくつかの種類がありますが、一番多いのが血液透析です。血液透析では、1日24時間休みなく腎臓が行なっている血液のろ過を人工的に行うため、週に2、3回の通院が必要となり、1回の治療に約4、5時間かかります。さらに食事や運動にも制限があります。この様に透析に入ると生活が大きく変わる上、自己管理がとても重要になるため、心身ともに負担が増えます。
DOPPSは、こうした血液透析患者さんの生活の負担を減らすにはどのような治療・診療が適切なのかを調べ、透析患者さんの長寿とQOL(生活の質)の向上を目的とした国際的な観察研究を行なっています。